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【魔女と私のお茶時間 #3】

2026

9.18

毎週金曜日にお届けしている「魔女と私のお茶時間」。

前回は、野草茶に魔女と物語の世界を重ねた理由と、朝・昼・夜の3つのお茶についてお話ししました。

今回から少しずつ、佐渡島のどこかにある不思議な喫茶店と、そこに暮らす魔女サド子の物語をご紹介していきます。

これは、魔女サド子と少女「私」、そして佐渡の植物から生まれるお茶のお話です。

🧹道に迷った先で見つけた、小さな店

あの日の私は、佐渡の山道を一人で歩いていました。

どこかへ行こうとしていたのか。

それとも、何かから逃げたかったのか。

今となっては、よく覚えていません。

ただ、いつもなら気にならないような小さなことが重なり、胸の中がいっぱいになっていたことだけは覚えています。

気がつくと、見慣れない細い道に迷い込んでいました。

木々の間から差し込む光。

風が揺らす葉の音。

足元には、名前も知らない小さな草花が咲いています。

しばらく歩くと、森の中に古い木の扉が見えました。

看板には、小さな文字でこう書かれていました。

「ティーハウス ウイッチクラフト」

お茶のお店なのでしょうか。

けれど、人がいる気配はありません。

帰ろうかと思ったそのとき、扉の向こうから、ふわりといい香りがしました。

🧹「お茶を飲む顔をしているね」

思い切って扉を開けると、カウンターの奥に一人の女性が立っていました。

黒い服を着ていましたが、物語に出てくる魔女のような、大きな帽子はかぶっていません。

髪は少し乱れ、テーブルの上には乾燥した葉や小枝が広がっていました。

女性は私を見ると、驚く様子もなく言いました。

「ずいぶん遠くまで来たね」

そして私が何も答えられずにいると、もう一度、顔をじっと見て言いました。

「あなた、お茶を飲む顔をしているね」

お茶を飲む顔とは、どんな顔なのでしょう。

思わず首をかしげると、女性は少しだけ笑いました。

「疲れているけれど、疲れたとは言いたくない顔」

何も話していないのに、すべて見透かされたような気がしました。

その人が、魔女サド子でした。

🧹魔法ではなく、一杯のお茶

サド子は、棚に並んだ瓶の中から、いくつかの葉を選びました。

瓶の中には、色も形も違う植物が入っています。

深い緑の葉。

細く折れた小枝。

花びらのように軽いもの。

それらを少しずつ取り出し、慣れた手つきで混ぜていきます。

「魔女なら、魔法で元気にしてくれるの?」

私が尋ねると、サド子はお湯を注ぎながら答えました。

「そんな便利な魔法は、うちにはないよ」

湯気と一緒に、やわらかな香りが広がります。

「ここにあるのは、お茶だけ。飲んですぐ、すべてがうまくいくわけでもない」

そう言って、温かいカップを私の前に置きました。

「でも、お茶を飲む間くらいは、何もしなくていい」

私は両手でカップを包みました。

冷えていた指先に、じんわりと温かさが伝わります。

🧹何もしない時間も、必要だから

お茶をひと口飲んでも、悩みが消えたわけではありません。

明日から急に強くなれるわけでもありません。

けれど、カップから立ちのぼる湯気を見ているうちに、固くなっていた心が、ほんの少しだけゆるんでいくように感じました。

サド子は、私に何があったのか尋ねませんでした。

励ますことも、正しい答えを教えることもありません。

ただ近くで、次に使う植物を静かに選んでいました。

誰かに説明しなくてもいい時間。

頑張らなくてもいい時間。

そんな時間を過ごしたのは、ずいぶん久しぶりでした。

🧹帰り道に渡された、小さな包み

お茶を飲み終えて席を立つと、サド子は小さな紙包みを一つ差し出しました。

「明日の朝、起きられなかったら飲みなさい」

紙包みには、少し変わった名前が書かれていました。

「二度寝禁止」

思わず笑ってしまった私に、サド子は言いました。

「笑えるなら、大丈夫。たぶんね」

店を出ると、いつの間にか空は夕暮れの色に変わっていました。

来たときには見つけられなかった帰り道も、なぜかすぐに分かりました。

振り返ると、木の扉はまだそこにありました。

けれど次の日、同じ場所を訪ねても、その小さな店を見つけることはできませんでした。

🧹 お茶がつないだ、物語の始まり

魔女サド子がくれたのは、悩みを消す魔法ではありませんでした。

立ち止まって、温かいお茶を飲む時間。

そして、「今は何もしなくてもいい」と思える、心の余白でした。

私たちがティーハウス ウイッチクラフトのお茶に込めているのも、そんな小さな魔法です。

劇的に何かを変えるのではなく、一杯のお茶をきっかけに、張りつめていた気持ちが少しほどける。

忙しい毎日の中に、自分のための時間を取り戻す。

そんな一杯であってほしいと願っています。

次回は、サド子から渡された朝のお茶「二度寝禁止」の物語をお届けします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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ショップ名 さどのめぐみっ茶
販売業者 Brillian
創業 2015年9月
代表 片岡悦子
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TEL 0259-66-2424
MOBILE 090-2518-2085(カタオカ)
FAX 0259-66-2424
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事業内容 佐渡の天然野草を使用したブレンドティーの生産
許認可・資格 食品衛生責任者・薬草ブレンダー・コーディネーター
取扱商品 さどのめぐみっ茶に関する商品全般